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きつねこぶたの創作部屋

きつねこぶたの創作小説プログです。ただいま<私立クリスティ 学園シリーズ>を連載しています。

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本日 (未集計) (未集計) (未集計)

最近のエントリ

23:24
7/27

<35>-11

 もじもじと困っていると、トノアは顔をあげ、微笑んだ。 「そんな顔をしないで。ごめんなさいね」 「あ、いえ……」 「どうしてもわたしは、知らなければならなかったの。いいえ、わたしではないわ。貴方が過去に来なければならなかったのよ」 「は?」 「貴方をここに呼んだのは、わたし。未来の予見が正しければ、貴方にすべてを見ていただかねばならなかったから」 「あの、それってどういう意味ですか」  わけがわからず...

06:57
7/26

<35>-10

 困った顔の彼女を見て、トノアは顔を曇らせた。 「やはりわたしの予見は、間違いではないようですね。魔族は人間と同化し、世界から消えようとしている」 「えーと、あの、そもそもわたしの世界では、ここは本の中なんです」  茉理は、なんとか説明を試みる。 「わたしも魔族じゃなくて、普通の人間で――だからあまり魔族のことって知らなくて」 「そうなの?」 「魔族って、そもそもわたしの世界では、一般にお話の中に出...

13:48
7/25

<35>-9

 目を丸くして、ワゴンを見送る茉理を、はにわはまた引っ張った。 「今度はどこよ」  返事を返さないことはわかっているが、彼女はつい口にする。  はにわは、茉理を外の広い庭――噴水の側にある円柱に囲まれた小さな神殿に案内した。 (すごい……これって全部黒薔薇だわ)  白い円柱には、つたのように、棘のついた茎と黒薔薇が、高くからみついている。  白い長椅子に、先ほど会ったトノアが、微笑んで座っていた。 「お...

17:18
7/24

<35>-8

 はにわに手を引かれ、別な部屋に入る。  そこは居間のようになっていて、白い壁に白い天井、白い石の床と、すべてが、白ずくめだった。  中央に黒曜石で出来たテーブルと椅子がある。 (なんかこの世界って、白と黒しかないのかな)  首をかしげた茉理を、はにわは椅子に座らせる。  向かい側の壁に見えるドアがすっと開き、ワゴンが一台、入ってきた。 (うっそーっ、ワゴンが誰にも押されず、自動で動いてる!)  驚...

08:18
7/23

<35>-7

(わたし、今、どんな感じかな)  茉理は、自分のさっきまで着ていた服のポケットから、小さな丸い鏡を取り出した。  これはいつも持ち歩いている物で、祖母が入学式の日にくれたのだ。 (おばあちゃんったら、絶対肌身離さず持ってろって言ってたけど、本当に心配症よねえ)  半分ぼけている祖母だったが、彼女の手に鏡を持たせ、お守りになるからいつも持っているように、と念を押して渡された。  それ以来ずっと持ち歩...

15:33
7/22

<35>-6

 花の香りのするお湯につかり、考え続ける茉理の腕を、ずいっと何かがひっぱる。 「うわっ、はにわさん?」  土で出来た土器人形のそれは、寸胴の真ん中辺りにある口を、にいっと開いた。 (笑ってくれてるのかな)  茉理は、額に汗を浮かべながら、なんとか笑みを返す。  はにわは、彼女をお湯から上がらせると、石の台に寝かせた。 「あの、はにわさん、わたし、一人で出来るからいいよ」  茉理の言葉は完全に無視され...

15:21
7/21

<35>-5

(どうなってるの? もう)  茉理は白い陶器の浴槽につかりながら、ため息をついた。  XXランドで響子に異次元に飛ばされ、ここまで来たのは覚えている。  でもよりもよって――。 (異次元というより、あの本の中の世界じゃない。そんなことってあり?)  こないだ図書室で目に付いた児童書『魔法の国の巫女姫』。  あのトノアと名乗る少女は、まさしくその本の主人公『聖魔巫女』そのものだ。  この世界も、本の中の描...

23:06
7/20

<35>-4

 奥に入ると、小さな扉が並んでいた。  その一つを、トノアはあけて、茉理を中へ導きいれる。 「どうぞ、ここを使って」 「はあ」  茉理が部屋の中に入ってみると、そこには不思議な物が跪いていた。 (えーと、これって確か――)  以前歴史の教科書に出てきた古代遺跡の出土品が、まさしくそこに跪いていたのだ。 「……」  絶句する茉理に笑むと、トノアは聞いた。 「これに、あなたの世話をさせたいと思います。名前を与...

14:21
7/19

<35>-3

「目覚めたのですね」  横からの声に、茉理は恐る恐る顔を向ける。 (え? この人……)  彼女は驚き、目を見開いた。  見たことのある少女が、彼女に微笑みかけている。  銀色の長い髪と、紅い瞳。  ゆったりした黒のローブを身に纏い、腰には銀の鎖が幾重にも巻きつけられていた。 「あ、あの、あなたは……」  茉理は震えながら、聞く。  まさかそんなはずは、と頭の中は、パニック状態に陥っていた。  そんな彼女に...

11:27
7/18

<35>-2

(どこだろう、ここは――)  茉理は首をひねった。  確か自分は、斎と一緒にXXランドにいたはずだ。  そう、そしてお兄ちゃんに会って――。  茉理の脳裏に、明人の姿が浮かぶ。  やっと会えた愛しい想い人は、自分のことなど忘れてしまい、他の女の子に夢中になっていた。 『早く、あの子を始末してくれ!』  彼の言葉が呪いのように、頭に響く。 (お兄ちゃん、どうして……)  茉理は両腕で体を抱きしめ、唇をかんだ。 ...

08:42
7/17

<35>-1

(あれ……ここは……?)  茉理は、薄目をあけて、上を見た。  どこまでも続く深い闇。  そこにちらちらと星が瞬いて――。 (ここって、外?)  茉理は身を起こし、まわりを見る。  どこかの山の頂上のようだ。  切り立った崖の上に作られた神殿。  円柱に囲まれた五角形の石床の中央にある、黒い石で出来た祭壇のような物の上に、茉理は寝ていた。 (うわーっ、ここってけっこう高そう)  すぐ下は崖だ。  ちょっと首を...

10:54
7/16

<34>-10

「これを預ける。しっかり保管しといてくれ」  直樹は口の中に、児童書を放り込んだ。  犬は児童書を飲み込み、また口を閉じる。 『保存完了』  犬の額に、文字が浮き出した。  ウイイイイーンッ。  変な機械音がして、犬型金庫は身をがたがた揺らし始める。 「なんか、中古洗濯機みたいだね」 「今、中の物を確認、良好状態に保管しているところだ」  ウーンウイーン、チーン。  一瞬大きな音がしたかと思うと、犬の...

09:30
7/15

<34>-9

「本は書庫より、俺が作った超封印保管機能付金庫――名付けて『なんでもまもるくん』に入れておこう」 「いつも思うんだけどさ、君の作る作品は、なかなかすぐれてる物なのに、その素朴なネーミングは、なんとかならないの?」 「『なんでもまもるくん』のどこが悪い」 「なんかこう、金庫のネーミングとしてはちょっとねえ」 「じゃあ、『絶対まもるくん』はどうだ」 「変わらないよ、それじゃあ」 「じゃあ、『必ずまもるく...

17:39
7/14

<34>-8

「雅人、この本の最後の言葉を覚えているか?」 「あとがき? ああ、そういえばあったね」  雅人はこめかみに薔薇の花を当てながら、思い出そうとする。 「――この本は、未来の聖魔巫女と、宿命を共にする聖魔騎士の一族のために作られた。過去の記憶を彼らに渡すため、それをこの本に封印する。使命を果たしし暁には、本はこの世から消滅する……」 「よく覚えていたな」 「あと何分後に、爆破されるのかな」 「おいおい、よ...

22:33
7/13

<34>-7

「いたずらだったらいいんだが――」  顔を曇らせる直樹を、英司は横で心配そうに見た。 (この本って、そんなに大変な本だったのかなあ)  よくわからなくて、ふと目線を卓にやると、見慣れた鞄が置いてある。 「あーっ、これ、帝の鞄だ。なんだ、一度、生徒会室に来てたんですね」  どこ行ったのかなあ、とつぶやく英司の声に、先輩二人はびくっとした。 「帝の鞄があるのか?」 「ほんとだ。ここに来てたんだね」  直樹...

10:42
7/12

<34>-6

 直樹の眉が上がった。 (どういうことだ? 初等部の頃、その本は一度読んだことがあったが――)  父が彼につけていた家庭教師が、『魔族の子どもなら、ぜひ読んでおかないといけませんっ』の一言と共に、押し付けてきた本だった。 (あれと同じ本のはず。世界に一冊しかない、ここの書庫に保管されていた物のはずなのに) 「ヤッホーッ、どうしたの?」  ガラッとドアが開いて、能天気な顔で、茉理=雅人が顔を出す。 「...

09:30
7/11

<34>-5

「おや、英司だけなのか?」  がらっと生徒会室のドアが開き、細身長身の先輩が現れた。  メガネのフレームに手を添えながら、彼はぐるりと室内を見回す。 「帝がいないな。教室にいなかったから、てっきりここだと思ったんだが」 「帝は、まだ来ていないみたいですよ」  英司はそう言うと、直樹に、はい、今日の分です、と白い箱から仕分けした投書の束を渡した。 「ありがとう。ああ、それと英司」  直樹は卓に乗ってい...

09:27
7/10

<34>-4

「ふうーっ、まったく疲れるなあ」  汗を拭き拭き、英司は生徒会室のドアを開けた。 「あれ? 誰もいないのか」  帝がてっきり来てると思ったのに――と、ぶつぶつ言いながら、彼は鞄を置き、隅の机に白い箱を置く。  職員室から持ってきた物で、それには全校生徒の生徒会への嘆願書や苦情その他もろもろが入っていた。 「さて、と」  箱から中身を出し、英司はけっこうな量に驚く。 「予想以上に今日は多いなあ。どれどれ...

10:42
7/9

<34>-3

(くだらんな。所詮御伽噺か)  彼は鼻を鳴らしながら、ページを繰った。  この本は、おそらく昔の魔術師たちが、自分たちの生活や習慣を、魔族の子どもたち用にわかりやすく教えるために作られた物に違いない。  魔術がかけられているから、表の図書室に安置できなくて、重要書物の一員として、書庫に保管されているのだろうが、それだけで特に価値がある内容ではなさそうだ。  そう思っていた帝は、たいして本文を見る...

14:12
7/8

<34>-2

 苛立つ心を抱えながら、帝は授業を終え、特館に向かった。  生徒会室に入ると、まだ誰もいなくて、ひんやりとしている。  彼は軽く息を吐くと、鞄をどさっと卓に置いた。  自分の席に座ろうとして、ふと目を見開く。  卓の上に、本が乗っていたのだ。 「ったく誰だ! こんなとこに書庫の本を出しっぱなしにしといた奴は!」  彼は叫んで、本を手に取る。  一目見ただけで、それには強力な魔術が施されているのが感じ...

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